自動散水はなぜ系統分けする?電磁弁を複数設置する理由と仕組み
この記事では、
・ポップアップスプリンクラーの導入を検討している方
・市販の散水機を購入したが上手く水が出なかった方
・自動散水の設計をしてみたい方
上記のような方のお役に立つ内容です。
目次
①自動潅水は「水量」「植物の違い」「管理性」のために系統分けが必須
②電磁弁とは
①自動潅水は「水量」「植物の違い」「管理性」のために系統分けが必須
自動潅水システムでは電磁弁を複数設置し、1系統・2系統、、、と分けて給水制御をします。
結論として系統分けは「水を全ての散水機が適切に水を届ける」ための方法になります。
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 水圧・水量の限界がある | 一気に広範囲へ撒くと水が弱くなり届かない |
| 散水機ごとに必要な水が違う | 散水機はそれぞれ吐出量が異なる |
| 適切に制御できる | 順番に散水することでムラなく給水 |
| 節水になる | 無駄撒きを防ぎ水道代と植栽トラブルを防止 |
| メンテナンスしやすい | 故障時に系統単位で切り分け可能 |
| 将来拡張しやすい | 植栽追加や散水ゾーン変更に対応しやすい |
②電磁弁とは
電磁弁とは、いわば水門です。
コントローラーの「水を開けろ」という指令を受けて実際に水を出すのが電磁弁です。まさにダムのように指令を受けることで放水を開始するような役割ですね。
通常電磁弁は地面に埋設設置されます。土中にあることで保温対策、紫外線劣化の対策にもなります。
系統分けしないと何が起きる?
電磁弁はとうぜん一個でも少ない方が材料・施工費用が下がりますが、それでは電磁弁が1個で良いではないかと考える方がいらっしゃいますがそうではありません。
当然設計する側としては理由があります。
要因は、冒頭の結論でもありましたが大きく二つあります。
① 水圧・水量の限界がある
とくにスプリンクラーですが、可能なら一つの電磁弁に5本でも10本でも取り付けて一斉に撒きたいところですが現実としてそれが出来る現場は非常にまれです。特に新築ではない既設の現場にある配管の口径や水圧はもう決まってしまっており、たくさんの本数を一気に出す用な条件がそろっていないケースが多いです。
詳しくは下記のリンクをご覧ください。
②散水機ごとに必要な水が違う
例えば、芝生にはスプリンクラー。生垣にはドリップチューブを設置する現場があった場合、もし電磁弁一つでスプリンクラーもドリップチューブも稼働するとどうなるでしょうか。
スプリンクラーとドリップチューブでは1分間に水のでる量が圧倒的に違うため、どちらかが水が足らないか、水をあげ過ぎてしまうという状況になってしまいます。
| 項目 | スプリンクラー | 点滴チューブ(ドリップ) |
|---|---|---|
| 目的 | 広い面積を均等に散水 | 植物の根元へゆっくり浸透 |
| 水の出方 | 放水して広範囲 | 地面に沿ってじわじわ |
| 吐出量(1箇所あたり) | 2〜10 L/分(1,200〜6,000 L/時) | 1〜3 L/時(※1つの点滴穴) |
表を見ていただくと明らかですね。
そのため、異なる散水機を同じ系統(水路)にすることは散水機.comでは絶対におすすめしません。
系統分けは「植物の命を守る配慮」
電磁弁で水路を分けることは費用を増やすことや複雑にするためでもありません。
散水機の違いを理解し、それを尊重する散水設計です。
正しい設計をするためためには、現場の水量・水圧がそもそもどれくらいの数値なのかを確認する必要があります。
また、芝生や中高木、プランターなのかなどによって適切な散水機を使い分ける必要があります。
散水機.comでは図面、そしてお客様と打合せを実施することで適切な自動潅水設計をさせていただきます。