灌水と散水の違いについて

散水機.comでは「自動散水システム」を通じて、多くのお客様に緑地管理の省力化・美観維持をご提案しています。
しかしながら、お客様からはしばしば以下のようなご質問をいただきます。
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「“灌水”と“潅水”の違いは?」
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「“散水”とどう違うの?」
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「“自動潅水”と“自動散水”は同じ意味ですか?」
本記事では、それぞれの言葉の意味や使い分けについて、散水機.comの視点から分かりやすく解説します。

灌水(かんすい)の意味
「灌水(かんすい)」という言葉を説明するには、まず「灌漑(かんがい)」という昔から使われている農業の用語を知っておく必要があります。
「灌漑」というのは、田んぼや畑に人の手で水を送ることです。たとえば、水が足りない土地に水路やホースを使って水を引いてくるようなイメージですね。
この「灌漑」という言葉は、2つの漢字「灌」と「漑」でできていますが、どちらも「水をそそぐ」という意味があります。特に「漑(がい)」という字は、それ一文字で「田畑に水をやる」という意味を持っていて、農業ととても深い関わりがある言葉だということが分かります。
灌漑の歴史

もともと、灌漑を行ってきた地域とは水資源に乏しく遠方から水を持ってこないと作物が育たない地域で発展した技術であり、その多くを中東地域が占めていると言えます。
近年の調査で、紀元前6千年紀ごろからメソポタミア、エジプト、イランといった中東で灌漑が行われていたということが明らかになっております。写真:トラヤヌス帝キオスク 手前がナイル川

我が日本では第14代天皇・仲哀天皇の皇后・神功皇后が現在の福岡県那珂川市に作った農業用用水路「裂田の溝(さくたのうなで)」が最初の灌漑施設と言われています。
考古学的にはこれ以前、縄文時代まで遡れる稲作灌漑の痕跡が発見されており、弥生時代や大和時代にも多く灌漑技術が浸透していった模様です。写真:裂田の溝(さくたのうなで)那珂川市HPより
灌水の意味
歴史を紐解くと、「灌漑」という言葉には、農作物などに水を送る/撒くという目的が含まれています。灌漑から派生した言葉「灌水」についても同じことが言え、単純に水を撒くという動作を意味している「散水」という言葉に対して、灌水は目的が含まれるので、ここが大きな違いとなります。

まとめると下記のようになります。
灌水 ・・・ (農作物などに)水を撒く
散水 ・・・ 水を撒く 散水する
「灌水」と「潅水」の違い
これまで説明してきた「灌水」には「潅水」と表現されることがあります。
「灌水」と「潅水」は意味は同じですが、この二つの漢字は分野によって使い分けられている傾向があります。
「灌水」は前述のとおり農業の分野で使用されています
「潅水」は造園・園芸の分野で使用されています。国家資格である造園施工管理技士の過去の問題でも潅水と表現されています
つまり、どちらも植物に水を与える行為を指しますが、「灌水」は農業寄り、「潅水」は園芸や景観管理寄りのニュアンスを書体から表していると捉えることができます。

散水機.comはなぜ散水なのか
「散水」を使う想い
「灌漑」や「灌水」の最終的な目的としては、耕作地全体にちょうどよい量の水を供給することであり、近年、同分野ではIoT技術と共に、目覚しい発展を遂げています。

一方で私共の相手は農作物ではなく、農作物とは違った付加価値のある緑地、スポーツフィールドや建物の引き立て役、見せ場となる緑地帯などです。
これは均一に水を撒くだけではなく、システムの佇まいや耐久性など、細かい部分まで一般的な灌水システムとは大きく異なります。
散水機.comが主に扱うのは
景観の維持・快適性の向上を目的とした水供給です。
そのため「潅水」よりも、より広い意味を持ち、親しみやすく分かりやすい「散水」「自動散水」という表現をメインに採用しています。

散水機.comの自動散水システムは常にスタイリッシュで均一に散水することを目的としています。
もちろんですが、お客様の現場で使われる水源は農業用灌水のように川の水や地下水ではなく、水道水を前提に検討されています。貴重な水資源を無駄なく使うこと、そしてお客様の求める水量、時間を正確に計画することが我々の使命です。
「散水」システム
散水機.comのシステムは原則、適所、適時、そして適量に散水します。
見せ場だからこそ必要な工夫が隠されています。なので国宝級の寺社仏閣、都心にあるビルディングの外構、大切なお庭の植物など、失敗のできない現場だからこそ、「散水システム」を使っていただきたいです。
さらにオススメなのが、この「散水システム」を自動化してストレスフリーな状態で植物に関わっていただきたいと願っております。散水機.comの自動散水システム、気になられた方は下記のバナーからお進みください。自動散水システムを詳しく解説しております。

記事内への用語表現に関するご案内
散水機.comでは、長年にわたり「自動散水」や「散水」といった言葉を用いて、庭園・外構・緑地管理に関する製品や技術をご紹介してまいりました。
これらの表現は、当社が大切にする日本庭園や景観の美しさを保つという目的に即しており、私たちの製品やサービスの本質を的確に伝えるものです。
一方で、近年では「灌水」や「自動潅水」といった言葉についても、お客様の中で関心を持たれる場面が増えてきました。
また、これらの言葉は農業分野だけでなく、広く“植物に対する水管理”の文脈で使用されるようになってきており、言葉としての認知が拡大していると感じております。
そのため今後、当社としては以下のような方針で表記を工夫してまいります。
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引き続き、当社独自の強みや理念を伝える言葉として「自動散水」「散水」を中心に据えます。
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一方で、より多くのお客様に情報を届けるための架け橋として「灌水」「自動潅水」といった言葉も記事内で適切に取り入れていきます。
このような表現の使い分けは、言葉の背景や分野に対する理解を深めていただくことにもつながり、お客様にとってもより分かりやすく、幅広く情報にアクセスしていただける機会となると考えております。
今後も、散水機.comでは専門性と親しみやすさのバランスを大切に、皆様に役立つ情報を発信してまいります。何卒よろしくお願い申し上げます。
